FX手法の検証記事第9回。
今回はこれまでとはまた違ったアプローチのトレンドフォロー手法である、エリオット波動&フォボナッチ・リトレースメントを使った手法を検証してみます。
エリオット波動&フィボナッチ・リトレースメントを使った手法とは?
エリオット波動とは?

エリオット波動とは、上画像のように、一定のパターンで相場が推移するという理論です。
上画像は上昇のパターンで、FXではこれとは逆の下降5波+上昇3波のパターンもあります。
この波は入れ子方式となっていて、例えば日足での上昇1波は、1時間足で見ると上昇1波~下降3波までの1セットで形成されていたりします。
エリオット波動を知ることで相場が今どのような状況にあるかを知り、エントリーするべきか否かを図る材料になります。
例えば、上昇1波が終わって調整中ならまだ3波、5波の上昇波があるということで、ロングエントリーの根拠になりますし、5波の上昇中だということが分かればロングは控えようということになります。
無論、全てのチャートがこのような形になるわけではありませんが、相場を読み解くヒントの1つとして知っておくといいでしょう。
フィボナッチ・リトレースメントとは?

フィボナッチ・リトレースメントはこれからどこまで上がる・下がるを知るための目安となる指標です。
例えば上昇1波が終わった後の上昇2波では、1波で上がったところから61.8%~38.2%下がるのが目安とされています。
フィボナッチ・リトレースメントは帯のような形状をしたラインになっており、1波の最安値から最高値に引くことで、どこが61.8%~38.2%地点に当たるかが簡単に分かるようになっています。
また、同じように上昇3波の上げ幅は1波の161.8%以上になることが多く、リミットを設定するのにも使われています。
エリオット波動&フィボナッチ・リトレースメントを使った手法とは?

今回の検証はエリオット波動で言うところの2波~3波を狙う作戦です。
3波は3つの上昇の波の中でも最も上昇幅が大きく、トレンドフォローで勝ちやすい場所となっています。
1波が終わり、2波になったらフィボナッチ・リトレースメントを使用し、38.2%地点まで押すのを待ってエントリー。
そのまま3波の161.8%まで引っ張って大きな値幅を狙います。
強みは当たればデカく、損切り位置・利益確定位置が明確なことです。
一方でレンジ相場など方向感の出にくい動きでは身動きが取れない弱点があります。
またチャートの見方によって、大きな波でエントリーする、小さな波でエントリーすることができますが、ある程度の相場感がないとエントリーするか否かを判断するのが少々難しい手法でもあります。
エリオット波動&フィボナッチ・リトレースメントを使った手法のルール

使用インジケーター
フィボナッチ・リトレースメント(38.2%、161.8%のみを確認)
ルール
基本ルール
- 資金10万円スタート
- 取引枚数は変更せず、1万通貨固定
- 2018年7月~2019年6月の1年間のGBP/JPYの1時間足で検証(デイトレ~スイングくらいのイメージ)
トレードルール
- 上昇1波が終わったと判断したら、38.2%戻しまで待ってロングでエントリー(下降波の場合は1波の38.2%戻しを待ってショートエントリー)
- 損切りは第1波の底値に設定
- リミットは1波の161.8%に設定
- ポジションは大きい波・小さい波などに応じて複数持ってもOK(同じ波で複数エントリーはしない)
エリオット波動&フィボナッチ・リトレースメントを使った手法の検証結果

トレード回数:19回(ロング:10回 ショート:9回)
勝率:37%(勝ち:7回、負け12回)
平均獲得:447.7pips(44,768円)
平均損失:138.0pips(13,804円)
年間損益:+1,477.3pips(+147,730円)
月別資産推移グラフ

エリオット波動&フィボナッチ・リトレースメントを使った手法のまとめと反省
結果としては1,477.3pipsの勝利。
しかし、色々と課題も多い検証となりました。
まず、この手法は今の相場環境をしっかり理解して使わないと難しいです。
例えば、上がってちょい下げが連続するジリ上げ相場などで、下降1波を狙おうとすると、延々負け続けたりします。
上げトレンドが継続している時は下げ1波を狙わない、など機械的でないトレードが必要と言えます。
また、今回の検証では長いトレンドが続いていたこともあって、エントリーポイントが非常に少ないという問題もありました。
無理やりエントリーして刈られるパターンも数回あり、実際のトレードでも焦れてエントリーしてしまうパターンはありそうです。
また、3波で161.8%まで届かず、数万円規模のプラスが出ていたのにも関わらず、惜しくも利益確定できない(損切りになる)パターンも2,3回あり、161.8%に到達しなかった時に利益確定できるルール追加も必要だと思います。
この手法だけでは取引回数が少なくどうしても不安定になりますが、1回当たるとデカく、環境認識できるほどに勝率が上がる手法だと思うので、で大きい波を捉えつつ、他の手法で細かく稼ぐといった組み合わせ手法で使うのが良いと思います。
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