FX手法の検証記事第11回。
今回は指数移動平均線(EMA)のゴールデンクロスorデッドクロスが出た時のみにエントリーする手法で検証を行ってみました。
指数移動平均線(EMA)とは?
単純移動平均線(EMA)は一定期間(設定した数値)のローソク足分の平均価格を算出した単純移動平均線(SMA)の仲間ですが、より最近の足に比重が置かれており、変化が出やすいという特徴がある移動平均線です。
同じ期間で設定した単純移動平均線と比較すると、上げ下げが激しくサインが出やすい反面、ダマシにもひっかかりやすくなる特徴があります。
基本的には単純移動平均線と同じように使われるので、どちらを採用するかはそれぞれの人の好みや手法によって変わります。
今回は、EMAを使ってゴールデンクロス・デッドクロスが発生したらエントリー、直近安値で損切り、その倍をリミットに設定、という第1回の検証と全く同じルールで検証を行い、でSMAとEMAに違いを検証してみたいと思います。
指数移動平均線(EMA)のクロス検証のルール
使用インジケーター
指数移動平均線(EMA)を2本表示。
単純移動平均線と比較するために、今回も5(短期)、25(長期)に設定しました。
ルール
基本ルール
- 資金10万円スタート
- 取引枚数は変更せず、1万通貨固定
- 2021年1月~12月の1年間のGBP/JPYの1時間足で検証(デイトレ~スイングくらいのイメージ)
トレードルール
- ゴールデン(デッド)クロスが発生し、長期線を短期線がしっかり上(下)に越えた時点でエントリー(重なっている時点ではエントリーしない)
- リスク・リワード1:2にするため、損切りを直近安値(高値)に設定した後、その2倍の値幅をリミットに設定
- トレードの間に再度クロスが発生した場合も決済はせず、両建てでトレード(今回の検証では最大で5つほどポジションを持つこともありました)
指数移動平均線(EMA)のクロス検証の結果
トレード回数:242回(ロング:118回 ショート:124回)
勝率:38%(勝ち:92回、負け150回)
平均獲得:122.7pips(12,271円)
平均損失:55.0pips(5,498円)
年間損益:+3,041.4pips(+304,140円)
月別資産推移グラフ
指数移動平均線(EMA)のクロス検証のまとめと反省
今回の検証目的はSMAとEMAでどれほど変わるかを調べることだったので、実際に違いを比較してみようと思います。
トレード回数:SMAの方が22回多い
勝率:SMAの方が2%高い
平均獲得:EMAの方が7.2pips多い
平均損失:EMAの方が0.2pips多い
年間損益:SMAの方が541pips多い
勝率・平均獲得・平均損益は誤差の範囲内で済みそうですが、トレード回数・年間損益で大きな差がありました。
トレード回数はEMAの方が多いかと思いきや、SMAの方が20回以上も多くなる結果に。
EMA検証時にサボっていた訳ではなく、重なり状態でスルーしたところが多かったためだと思われます。
年間損益についてはSMAの方が541pips多いとかなり大きな差が出ました。
これはEMAがより直近の値を反映しやすいことから、損切り幅が狭くなる=利益確定幅も狭まったためと考えられます。
実際にEMAの検証中、大きなトレンド中に早々に利確してしまい、もったいないと感じる場面が多くありました。
また、ダマシで負ける場面も多く、SMA程度の余裕があった方が機械的なトレードでは勝ちやすいのかもしれません。
月別に見ると、EMAの方は長らく10万円~20万円のエリアで足踏みしているのに対し、SMAの方が順調に伸びているのが分かります。
12月だけは、SMAは大きめのマイナスになった一方で、EMAは大きめのプラスと正反対の結果になっています。
謎です…。
検証の結果、個人的にはわざわざEMAを使わなくても、SMAでいいかな?と感じました。
それにしてもSMA・EMA共にゴールデンクロス・デッドクロスでエントリーする手法の成績はかなり優秀ですね。
何も考えずにトレードするなら、あれこれやらずにこの方法が一番稼げたりして…。
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